甘いv果実
 コンコン。小さく扉をノックして、乃絵美が扉を開けた。
「お兄ちゃ……あっ」
 乃絵美は言いかけた言葉を途中で飲み込む。
 兄、正樹が全裸でベッドの縁に腰掛けている。その脚の間に幼なじみの菜織が跪いている。こちらも全裸だ。
 菜織は立ち上がると、呆然としている乃絵美の手からジュースの入ったコップの並んだお盆を机の上に移し、彼女の腕を引いて部屋の中に入れてドアに鍵をかける。
 そこまでを一連の動作ですばやく済ませると、菜織は乃絵美の方を見たままで正樹のところに戻る。
 正樹を背後から抱きしめるようにして耳元に唇をよせる。
「ねぇ?」
 甘えるように正樹にしなだれかかる。
「や、やめろよ菜織」
 妹の目を気にして菜織から体を離そうとするが
「だって、見られてると思うと興奮するんだもん」
 菜織は言いながら正樹の股間に手を伸ばす。
「それに、私一度3Pってやってみたかったのよねェ♪」
 菜織の言葉で正樹は一気に火がついた。
「乗れよ」
 言うと正樹はベッドの上で仰向けになる。
 菜織が正樹に手を添えて、ゆっくりと腰を下ろしていく。
「んっ……ふっぅ」
 先端が触れたところで声を洩らし、菜織は髪をかきあげて乃絵美の様子を確かめる。
 乃絵美はまだ状況が把握できていない。驚きの余り思考が停止しているようだ。
「あぁ」
 菜織が上下するたびに湿った音が響く。
 自分で乳房を揉みながら、だんだんと声が荒くなっていく。
「ん、あっ……く」
 正樹は身を起こして菜織の手首を掴む。胸を揉んでいた手を固定されて菜織が抗議の声をあげると、彼は舌を突き出してまずは乳首を、そして添えられている指を丁寧に舐めていく。
「は……あん」
 指の叉と乳首が特に感じるようで、切なげに腰を揺する。
 正樹が下から大きく突き上げると、菜織は大きくのけぞって達した。
 菜織が腰を上げると、トロリと粘液が滴る。
 自ら掬って舐め取ると、菜織は壁に躰をあずけるようにしてようやく立っている乃絵美を軽く抱きしめる。
 菜織が乃絵美を離すと同時に、乃絵美のエプロンドレスがはらりと床に落ちた。
「ほら、見て。乃絵美の裸見て、お兄ちゃんたらあんなになってるよ」
 フフフ。菜織の淫靡な嗤いが乃絵美の耳をくすぐる。
 正樹は先程と同じようにベッドの縁に腰掛けている。そそり立ったモノを隠そうともせずに妹の白い下着姿を見つめている。
「そうだ。乃絵美にもさっき正樹にやったのと同じようにしてあげるね」
 言って菜織は乃絵美の前に跪く。両手で腰を固定して、顔を前に突き出す。くちびるが白い下着に触れたところで、初めて乃絵美が声をあげた。
「や、やめて菜織ちゃん」
 兄の目がじっと自分を見ている。姉のように慕っていた幼なじみが自分の股間に顔を埋めている。乃絵美は顔から火が噴きそうな程恥ずかしかったが、なぜか、逃げることも大声も出すこともできずにいる。
「あら、もうこんなにしちゃって……いけない子
 菜織が乃絵美の白いパンティを脱がせながら言う。乃絵美の脚から抜き取った下着には、それと判るシミが付いていた。
「や……」
 乃絵美の薄い翳りに口を付けると菜織は唾液を絡ませていく。時折チロチロと舌を伸ばす。乃絵美は小さく拒絶の声をあげる他はこれといった抵抗もしない。
 唾液とも蜜液ともつかない粘液が乃絵美の内腿を伝い落ちていく。
「……菜織、足もっと開かせろよ」
 正樹が荒い声で要求する。
 ちらりと正樹を振り向いて菜織は乃絵美の右足をもちあげた。もちろん、乃絵美の秘所も、そこを這う自分の舌も正樹からバッチリ見えるように計算した。
「やっちょっ……菜織ちゃん」
 乃絵美も自分の取らされている恥ずかしい格好を意識して、真っ赤になっている。兄の目から少しでも体を隠そうと右手で胸、左手で秘所を被う。
「すげぇ……自分でやってるみてぇ」
 正樹が興奮しきった声をあげる。もう、がまんできねぇよ、と小さく言うと菜織の後ろに立つ。
「けつ、上げろよ、菜織」
 壁にもたれてようやっと立っていた乃絵美は、菜織に腰を引かれて、ずるずると座り込む。脚を投げ出している乃絵美の股間に菜織は顔を埋めるようにして責め立てながら、腰を高く上げる。
 正樹が屹立したモノをあてがうと菜織は早く入れて、と腰を振ってせがむ。
「くっ……す、ごい、正樹の、奥まで届いちゃうよ」
「舌も休めるなよ、菜織」
 正樹に言われて、菜織はわかってる、と言う風に乃絵美にむしゃぶりつく。トロトロの蜜壺に指を差し入れ、肉芽をそっと歯でこすると乃絵美から泣くような声が洩れる。
「……ン〜」
 声に誘われるように正樹が手を伸ばす。妹の乳房を手の平に収めるとゆっくりとこねる。小さな突起を親指で擦りあげる。
「っっお兄っ」
 小さく叫んで脚を突っ張るようにして乃絵美が初めての絶頂を迎えた。
 菜織から離れると兄は放心している妹の腕を引いて立たせ、ベッドの上に投げ飛ばす。先にベッドで待っていた菜織がうつぶせに転がった乃絵美を反転させる。
 正樹は乃絵美の無防備な下肢をくつろげると躰を中に滑り込ませる。正樹の分身が乃絵美の秘唇を割る。
「!!っ」
 乃絵美が破瓜の痛みに、腰を引いて逃げようとしても肩口を菜織に押さえ込まれていて、それも出来ない。
「……くっ」
 乃絵美の顔を苦痛でひきつっているが、かまわず根本まで突き入れる。処女の中は狭くて正樹の肉棒をきつく締め付ける。抜き差しを開始すると、菜織が興奮した声で訊いた。
「どう? 乃絵美、いい?」
「おまえのより、狭いな。からみついてくる」
 ゆっくりした抽送を繰り返しながら正樹が言う。
「んんー」
 結合部に正樹が指を差し入れて敏感な突起をなでると乃絵美は先程までとはあきらかにちがう声をあげた。
「おい、乃絵美の奴感じてるゾ」
 抽送に合わせて肉襞がいやらしく蠢きくわえ込もうとする。ヌチャヌチャと濡れた音が淫靡に響く。痛みを訴えていた声には艶が混じっている。
「はっあん」
 菜織が乃絵美の顔をまたぐようにして膝立ちになる。丁度乃絵美を間にして正樹と向かい合う形だ。
「……ねぇ」
 正樹と深い口づけを交わす。歯列をなぞり口蓋をなめられると菜織は堪えかねたように声をもらす。
 正樹の動きがとまって、乃絵美はこわごわ目を開けてみる。
「……!!」
 乃絵美のすぐ目の前に菜織の秘所が広がっている。菜織の手がすべりおりてきて、濡れそぼった箇所をくつろげる。細い指が第二関節まで潜り込む。ゆっくりとした抜き差しのたびにどんどん蜜液があふれ出す。
「あ……」
 乃絵美の頬にトロリとした滴が落ちる。
 キュン
 正樹が動きを再開する。今度は、先程までのゆっくりとした出し入れではない。菜織のオナニーをみて感じはじめた乃絵美の肉襞が微妙に収縮して締め付けるので、正樹はゴールに向けての疾走をはじめる。
「……にぃ……ちゃっ」
「乃絵美ぃっ――!!」
「あぁ〜っ」
 強烈なエクスタシーを迎えて、3人が同時に果てる。


「ね、いつもより良かったね」
 笑いながら菜織が言う。
 実の妹を犯したことに少しばかりの罪悪感を抱きながら、正樹もうなづく。
「私、あれ乃絵美にあげちゃおうかな〜♪」
 ルンルンとした様子で菜織がカバンの中から小さな包みを取り出す。
「乃絵美、こっちおいで」
 にこにこしながら手招きする。
「……」
 乃絵美は言われるままおとなしく菜織の前に立つ。
「これこれ」
 言って取り出したのは、葉っぱと四角いハコを細いコードでつないだようなものだ。
「これをこうしてっと」
 身だしなみを整えた乃絵美のスカートを大きく捲り上げて、菜織は四角の部分をパンティの脇に挟む。
「菜織ちゃん……?」
「でもって、これをっ」
 葉っぱを下着の下に潜り込ませる。
「取っちゃダメよ、乃絵美」
 ピッと乃絵美の額をはじいて、菜織は「あ、それでもってこれは正樹にね」となにやら手渡す。
「んじゃ、また明日ね、乃絵美、ジュースごちそうさま  言うだけ言って、さっさと菜織は帰ってしまう。
「……」
「……あ、私もそろそろ戻らないと……」
 乃絵美が部屋を出ると、正樹は先程菜織からもらったものを手の上で転がした。
 菜織の奴、一体どういうつもりだろう。いや、もしかするとつもりもなにも、なにも考えてないのかも知れない。それにしても……



「お兄ちゃん……」
 夜半に乃絵美が正樹の部屋に入ってくる。
 はあ、はあ
 息が荒い。
「お兄ちゃん、やめて」
「やめてって、なにを?」
 判っていてトボけてみせる。
「お願い、スイッチ、切って」
 正樹のパジャマの上を素肌に着ている乃絵美からは女の匂いがする。正樹は手の中のものを握りしめた。
「なんの、スイッチだって?」
 あくまでシラをきる正樹の声はしかしうわずっている。
「……」
「っく」
 乃絵美が堪えきれずにその場に座り込む。
「ん―――!」
 正樹はドキドキしながら菜織が乃絵美につけていったローターのリモコンのスイッチを切った。乃絵美は太ももの付け根にこぶしを置いて荒い息をついている。
「乃絵美、乃絵美っ」
 正樹は乃絵美を背後から強く抱きしめると、くりかえしその名を呼ぶ。
「お兄、ちゃん」
 昼間、菜織と2人がかりで兄に犯された時もそうだったが、乃絵美の心は状況から考えると奇妙なほどにおだやかだ。あきらめ、だけではないと思う。
 正樹の、乃絵美を抱く手に力が入る。
「……いい、よ」
「お兄ちゃんなら、私」
 正樹の心拍数が一気に跳ね上がる。すでに乃絵美の処女を奪ってしまった正樹だが、彼女を凌辱したいわけではない。むしろ、可愛くてしかたがないくらい大事な妹なのだ。
「……」
「私、お兄ちゃんで、良かった……って」
 乃絵美が体の力を抜いて正樹に体重を預けてくる。
「乃絵美……俺は……」
 なんと言って良いか判らなかった。乃絵美のことを大切だと思う。愛しているといっても良いかも知れない。しかし、では菜織は……?
「お兄ちゃんのこと、好き」
 背後にいる正樹からは乃絵美の表情は見えない。ただ、抱きしめている身体が小刻みに震えている。
 正樹は手の力を抜き、パジャマのシャツの合わせ目から手を入れると、そっと妹の乳房を触った。
 常に大切にしてきた、身体の弱い乃絵美。
 今、目の前にいるのは、自分の心の真ん中にやわらかいベールでくるんで大切にしてきた、妹という名の、恋人の菜織よりも、もっと近しい存在。
「お兄ちゃん……」
「乃絵美」
 背後からの愛撫に乃絵美は耐えられなくなって手を前につく。正樹はしばらく胸と背中を中心に愛撫をくりかえすと、乃絵美の腕をとってベッドへと誘う。
「……乃絵美」
 ゆっくりとパジャマのボタンを外していく。
 乃絵美は恥ずかしさからか目を閉じたままだ。
「恥ずかしい、よ」
 電気をけして、と乃絵美が言う。
「もっと乃絵美のことをよく見たい」
 両足を大きく開かせて、薄い茂みの下のヒミツの扉を開ける。そこはキラキラと光を反射して朝露に濡れる花びらのようだ。小さなつぼみはピンクの顔をのぞかせている。
「ここ、感じる?」
 真珠を摺ると、乃絵美は声もなく身悶える。
「さっきの、葉っぱ、良かった?」
 声をかけながら、正樹は乃絵美の返事を期待しているわけではない。
 昼間は菜織しか味わわなかった乃絵美の密壺に舌を伸ばす。甘い香りが鼻腔をくすぐる。
「あぁ」
 舌先が触れると、乃絵美が切なげに声をもらす。肉襞をなぞるようにして舐めながら、時々垂れてくる甘い蜜をすくい取る。震える若芽を吸い上げる。
「んん──っ」
 のけぞる乃絵美は、眉間にしわをよせて少し辛そうな表情を浮かべている。
「おにぃちゃ、お兄ちゃんっ!!」
 正樹は、ゆっくりと上体を起こすと、乃絵美の上に重なっていく。数時間前に初めて男を迎え入れたばかりの乃絵美に負担にならないよう、ゆっくりと挿入していく。根本まで入ったところで乃絵美の表情を伺う。
「は……ぁ」
 ひとつになったまま、きつく抱きしめると、乃絵美も正樹の背中に腕を回してくる。
「お兄ちゃん、大好き」
「乃絵美……」
 正樹はゆっくりとした抽挿を開始する。こわれ物を扱うような慎重さで乃絵美を抱く。
「乃絵美、乃絵美、好きだ……」
 何度も何度も名前を呼ぶ。そのたびに秘孔が収縮して正樹を締め付ける。
「乃絵美ぃ!!」
 叫んで正樹は乃絵美の敏感な突起をつまみあげる。
「っっっ」
 正樹がねっとりとからみつく恥肉の中に樹液をほとばしらせると、膣奥にあたたかい噴射を感じて乃絵美も大きくのけぞる。



「おはよっ」
「で、……使った?」
 翌朝いつものごとく、迎えに来た菜織が元気に言う。
「菜織〜、あれ、一体なんのつもりだよ」
 脱力したように正樹が言う。3Pの後、菜織が乃絵美にローターを取り付けたのだ。
「あら、気に入らなかった?」
 菜織は心外だな〜というように、首を傾げてみせる。女の子はたいていアレ、好きなんだけどな〜。
「っていうか、正樹と私って、恋人って柄じゃないのよね、だから恋人役は乃絵美に譲ろうかな〜って思ったのよ、あの時」
 なぜ自分が誘ってした3Pで、そんなことを思うのかはなぞのままだが。ともかく、そうなんだ、と菜織は言う。
「正樹って巫女服来てると興奮するヘンタイだから、今度乃絵美にも貸してあげるね」
「なっ! ばっ、なに言って……」
 正樹の反論にはかまわず、菜織は「だから、私も時々は、混ぜてね」と乃絵美におぶさるようにして、耳元に囁く。
 乃絵美は真っ赤になってうつむいている。
「んー、乃絵美ったらかんわいーい 昨日の、そんなに良かった? また、やろうね♪」
 菜織は乃絵美のほほにチュパッと派手な音を立ててキスする。
「私、レズに目覚めちゃったら、どうしよう」
「ばーか、んなわけねーだろ」
 好きもののくせに、と小声で付け加える。
「なにおーっ」
 こぶしを振り上げる真似をしながら、菜織はもう笑い出している。
 クスクス、フフ、アハハハハ
 形はすこし変わったけれど、昔のままに仲の良い幼なじみの笑い声が響く。
「さ、早く行かないとチコクしちゃうわよー」
「ほら、乃絵美カバンかせよ」
「ありがとう」
 お兄ちゃん、菜織ちゃん、大好き……心の中で乃絵美はささやいた。

fin