調教してみようか - side凜 -
「凜さん、今日からよろしくお願いします」
「あっ……はい……こちらこそお願いします」
 自室にこうして凜さんを迎える日が来て、逸る鼓動を抑えられない。
 ごく内輪でのものだったけれど、結婚の披露をしたので今日の凜さんは白いドレスを着ている。と言ってもいわゆるウエディングドレスではなく、スカート丈は膝くらいまでのものなのだけど。
「というか、朱鷺さんの部屋、和室ではないのですね」
 凜さんの声が少し平坦なのは、緊張しているからかな。形のいい膝が時々ひょこひょこと動くのが大変可愛らしい。
「うん、ホラ、凜さんの部屋は洋室だったでしょう? この方が少しでも居心地がよいといいなと思ったのだけれど」
「えっと……?」
「凜さんは本家には修行で来ているけれど、やはり私の妻としてここに住まうのは少し違うでしょう? 凜さんのために、改装したのだけれど……喜んではくれないのかな?」
 もとはごく普通の和室だった自室を改装しようと思ったのは、しばらく凜さんの部屋に居候していた時に結構居心地がよかったからというのもある。
「あぅぅ……ありがとう……ございます」
「ふふ、凜さん顔が真っ赤になってる」
 決して口のたつほうではない凜さんは、でもよく見ていると案外その表情やしぐさに感情が表れるのが可愛くてついつい構ってしまう。
「それでね、私たちは夫婦になったのだし、本家のしきたりとかも覚えてもらわなくちゃならない。でもまずは……」
 椅子に腰掛けた凜さんに上から被さるようにして口づける。
「んっ」
 軽く口唇を啄んでいると、甘い吐息が漏れてくる。ペロリと口唇に舌を這わせると感電したみたいに凜さんの体が震える。
「凜さんは新妻だから……調教、してあげなくちゃね」
 耳たぶを啄みながら言ってみたけれど、凜さんには聞こえていないのかボーッとしたまま私を見上げている。
「ちょっとだけ、我慢してね?」
 凜さんが我に返る前にサッサと両手足を椅子に括りつけてしまう。
「……え……朱鷺さん?」
「だから、これから凜さんを調教すると言ったでしょう?」
「んー、朱鷺さんそういう冗談はおもしろくありません」
「冗談ではないのだけどな。新妻に調教はつきものでしょう? 凜さんはなにかと言うと私の胸をにくいにくいと言ってぶつけれど、私としてもうれしくないし、この際だから凜さんの胸を大きくするよう協力してあげるよ」
「協力って……」
 幾重にも重なったレースで隠された胸元をゆっくりとはだけていく。
「ここ……今でもすごく敏感で私は好きなんだけど……たくさん揉んであげると大きくなるというしね。凜さんの、あれ、夫……というのかな? この場合……ダンナ様になる私としても、そうするのに吝かではないという意味だよ」
「……朱鷺さんは、誰かに揉んでもらったってことですか?」
「ええ? そんなことはないけど……」
 凜さんの声が尖っていて、私は慌てて否定する。
「じゃあ関係ない……ですよね?」
「そんなことはないよ? 刺激すると女性ホルモンが分泌されるから大きくなると母たちが言っていたからね」
 いつも言われるので、胸を大きくするにはどうしたらいいかと聞いたら、彼女たちはそれ以上大きくしてどうするつもりだと、私の胸を見つめていたのを遠い目で思い出す。
「そんなことを……人に聞いたんですか!? どっどんな顔をしてっ」
「どんな顔って、こんな顔だけど……凜さん、怒ってる?」
 真っ赤になって怒鳴りはじめた凜さんに、気に障るようなことをしたかな? と首をかしげた。
「おっ怒ってるわけじゃ……呆れてるだけです」
「じゃあよかった。そんなわけで、私が責任を持ってたくさん触ってあげるから」
 大きくはない乳房をそっと手のひらに収める。
 膨らみこそ少ないけれど、柔らかくてうっかり握りしめてしまいそうなくらいに楽しい。
「んっ」
「ごめん……痛かった?」
 柔肉を寄せるようにした手をパッと離す。フルンっと揺れて元の位置に戻るのを視線で追ってしまう。
「痛……くはない……です」
「そう、良かった。じゃあ続けるね?」
 手のひらに収まる乳房を、優しく揉んでみる。しばらくそうしていると、手のひらにコリコリとした感触が当たるのがわかる。
「ああ、感じてきたみたいだね?」
「ううっ」
 感じていることが恥ずかしいのか、凜さんはそっぽを向いたままだ。
「凜さんは敏感だから……」
 服の胸元だけをはだけた格好で小さな乳首はピンク色にツンと尖っている。
「ふふ、可愛い」
 下から少し持ち上げるようにした乳首に、チョンと挨拶のキスを落とすと、ビクンと凜さんの体が震える。
「舐められるの、好きでしょう?」
 言いながら、まずは右の乳首を下からそっと舐めあげる。やわやわと乳房全体を揺らしながらゆっくり唾液を絡ませていく。
「あ……んっ、朱鷺さん……やぁん」
「イヤじゃないでしょう? ほら、もうこんなに硬くなってきた」
 チュッとわざと音を立てて吸うと凜さんの背がしなって、胸を突き出すような格好になる。
「ああ、それともこっちだけじゃ足りないって意味かな? 反対もいっぱい舐めて欲しい?」
「あっ……そんな、んんっあぁ……」
 舌を左の乳房へと移すと、今度は乳暈を軽く噛んでみる。
「痛っ!」
「痛かった? ごめんね、凜さん」
 でも本当は痛いほどには力を入れていない。緩い刺激が続いた後だから、だ。チュッチュッと吸いついて時々舌を絡めていると、凜さんの上体が緩く揺れはじめる。
「ん? 凜さん……どうかした?」
「あ……なんでもなっ……んんっ」
「なんでもないって感じじゃないね? 言ってくれないとわからないよ?」
 チロチロと舌で乳首をくすぐりながらそんな風に言うと、凜さんの表情が歪む。
「あっ右……ジンジンして……ヘンっに、くぅっ」
「ああ、左だけじゃなくて、右ももっと可愛がって欲しいんだね? ふふ、奥さんは本当に欲張りだ」
 唾液で濡れた右乳首を指先で摘もうとすると、ヌルンとすべってしまうのをいいことに、何度も何度もそれを繰り返す。左は緩く舐め回しながら、だ。
「やっあっ……ああっ」
「気持ちいい? 凜さん」
「んっ……ちイっ」
「どこが気持ちいいのか私に教えて?」
 そんなことは言えないとばかりに悔しそうに口唇を噛む凜さんが、それでも私の愛撫に次第に声は高くなってくる。
「あっ! やっん……んんっっ! もっ許して……あぁ」
「可愛いよ、凜さん」
 大きく開いた口で、凜さんの小振りな乳房全体を強く吸い上げる。同時に、それまでワザと滑らせて遊んでいた右乳首も、指できつく摘み上げた。
「あっ! あっああああーーーーっ!!」
 ビクンビクンと、凜さんの下腹が痙攣して、胸だけで達してしまったことを教えてくれる。そっと胸元に所有印を与えて凜さんの頬に口づける。
「胸だけで感じてしまった?」
 凜さんの表情がクシャリと歪む。
「えっ!? 凜さん? 泣くほどイヤだった?」
 慌てて凜さんの顔を覗き込むと、違う、と首を横に振る。
「違……ビックリして……コレ、解いてください」
「ん? ああ、痛かった? ごめんね」
 背中でひとまとめにしていた腕と、椅子に括りつけた脚を解放してあげると、凜さんはギュッと私にしがみついてきた。
「ギュッてしたかったです」
「ああ、そうか。初めて縛られて怖かった?」
 正面から抱きしめると、私の肩に顔を埋めた凜さんが小さく頷く。
「もう、こんなことをする私のことなんて嫌いになった?」
 そうじゃなければいいのにと思いながら、そう言った。もしそうだったとしても私はもう凜さんを手放してあげることはできないというのに。
 私の背に回された凜さんの手に力が入る。
「嫌いになんてなりません。朱鷺さんは……私のダンナ様なのに」
 小さく、胸だけでイッてしまったのがショックだっただけだ、と呟いている。
「うん、凜さんの胸は、今は大きくはないけれどとても敏感で、イイ感じだね。もっとたくさん触ってあげたいけれど……」
 少し赤味を帯びている耳にチュッと口づける。
「そろそろ、こちらも愛させて」
 そっと、脚のあわいを撫でると、背中がフルンと震える。
「そのまましがみついていて」
 膝の下と背中に腕を差しいれて抱き上げると、高さにビックリしたのか、まだしゃくり上げていたのがピタリと止まる。
「初夜だし……うんと可愛がってあげる。泣いても止めてあげられないから覚悟して」
「……泣いても?」
「うん、調教って言ったでしょう? 凜さんが私から離れられないように、私じゃなきゃ満足できないようにしてあげるよ」
 チュッと額にキスを落として、ベッドの上にトサリと凜さんの軽い体を降ろす。
「いいです、よ? 朱鷺さんの好きなようにしてください」
 少しだけ震える声で、凜さんがけなげにそう言うのに、私の胸は甘く痛む。
「可愛いね、凜さん……そんなに可愛くしたら、私にどんなことをされてしまうか……わかってる?」
 口唇、頬、真っ赤に染まった耳、うなじから鎖骨へと口づけを落としていきながら、ゆっくりと腰を撫でていた手のひらを脚のつけ根へと移動していく。
「んんんっ!!」
 ようやくソコへと指先が到達すると、凜さんは耐えかねたように声を漏らしてギュッと膝に力を入れる。
「恥ずかしい? もうここ……こんなにヌルヌルになってる」
「いっ言わないでください」
 凜さんの膝に囚われて大きく動かすことはできないけれど、指先はすでに中心に達している。小刻みに震わせるだけで充分に凜さんを喘がせることができる。
「んっふぅ……やっそれっっ!」
「イヤ、じゃないでしょう? 凜さん、私に凜さんのココを愛させて?」
 反対の手で膝をそっと叩くと少しずつだけれど、凜さんの膝から力が抜けていく。
 白いドレスに合わせて、白い下着を着けているから、普段は色が白いことばかりが目立つ凜さんの肌が今はピンクに染まっているのがよくわかる。
「こんなに濡らしてしまって……」
 中心に添えた指ををグッと押し込むと、ジュプっと愛液がシルクの下着に染み込でいく。
「ああ、コレが邪魔で中まで指が挿らない……どうすればいいと思う?」
 言うと、凜さんは少し恨めしそうに私を見上げて、それからフッと視線を反らすと、自ら下着に手を掛ける。
「ん……しょ。これで……いい、ですか?」
 足首から下着を抜き取るのをジッと見下ろしていると、凜さんはこんな時でも猫の子が威嚇するみたいな目で私を見上げてくる。
「いいよ……さて、凜さん。凜さんはどうして欲しい?」
「ど、どうしてって……」
「ココを、こうやってクチュクチュされるのと……奥まで掻き回されるの、どっちがいい?」
 入り口付近の複雑な襞を指で開いたり撫でたりしながらそう言うと、一気に凜さんの顔が真っ赤になる。
「いっ言えません! その……朱鷺さんの好きなようにして、ください」
 最後の方は消えてしまいそうなくらいに小さな声でボソボソと言うから、私は思わず笑ってしまいそうになりながら、じゃあ好きにさせてもらうか、といきなり指を中に突き立てた。
「ひゃうっ!」
「ああ、凜さんがキュウキュウ締めつけてくる」
 もうこれ以上奥にはいけないところまで行っても、指じゃどうしても届かない場所にある凜さんのイイところは探ってあげられない。代わりにもう少し浅い場所にあるふっくらとした庭を擦ってあげると、無意識にだろう凜さんの腰が時折揺れる。
「やっそこっ! ダメぇ……あっ! あっ!」
「凜さんのダメ、はもっとしてって意味だよね」
 グイグイとそこばかりを擦りながら、私は上半身をずらしていく。
「もっと、感じて……私から離れられないように……」
 硬く尖って芽を出している真珠に口づける。
「やっ! ああっ! 朱鷺さっ! あっイッ……イッちゃっ!」
「いいよ、イッて」
 肉芽をジューーーッと音を立ててきつく吸い上げると、凜さんのつま先がピンと反り返って高い鳴き声と共に、私の指を柔らかくきつく締め上げてくる。
「んっ! んっ! んっ! はっあっああーーっ!」
 絶頂の痙攣が治まるまで、ゆるゆると愛してあげると、私はそっと指を引き抜いた。
「あっ……その、朱鷺さんは……」
「ん? 私がなに?」
「いえ、その……」
 もじもじと凜さんの視線が泳ぐので苦笑してしまう。
「もしかして、私が感じてないとか思ってる?」
「えっと……朱鷺さんは、まだ……イッてないから……その、辛くないですか?」
「じゃあ、凜さんが触ってくれる?」
 彼女の手を取って、私の股間へと導く。袴をはいたままだから、脇から手を差し込んで着物の裾を乱すと、凜さんの指がビクッと震える。
「凜さんの乱れた姿を見て、私もこんなに濡らしてしまった。慰めてくれるかな?」
「んっ……します」
「ええっ?」
 凜さんがコクンと頷くのを見て、反対に私の方が慌ててしまう。
「そ、それは……ご奉仕するニャンってことでいいの、かな?」
 まっすぐな視線が私を見て、それからツイ、とそらされる。これは、どうやら凜さんは照れているらしい。
 怖ず怖ずと、指先がぬかるみに触れて、それからヌメリを纏ながら敏感な蕾をそっと撫でていく。
「いいよ、凜さん。どこでそんなヤラシいこと覚えたの?」
「それは……朱鷺さんがいつも……」
「いいね。凜さんの初めても、こういうことを教えたのもみんな私というのは……とてもいいね」
 自分がされて気持ちよかったことをしてくれようとしてるのがわかる。ぎこちないけれど丁寧に、イイところばかりを凜さんの細い指が動いていく。
「凜さんの奉仕もとても良いけれど……今日は」
「あ……?」
 凜さんの手を優しく掴んで、サッと袴の帯を解く。あちこちをヒモが通っていてきちんと脱ごうとしたらめんどうだけれど、今は気持ちが焦っているので簡単に緩めただけで蹴り落としてしまった。
「今日は、凜さんと2人で気持ちよくなりたい」
 彼女の片脚を抱えて、その間に入り込むようにして脚を絡める。グッと腰を突き出すと、ヌルッとした感触が伝わってくる。
「ほら、わかる? 凜さんのイイところと私のイイところが……ぴったり合わさって……」
「あっ……朱鷺さんも? んんっクぅ」
「ああ、凜さんが私に絡みついてくるよ。ヤラしくて、可愛い……愛してるよ、凜さん」
「んんっ私もっ! 好きっあっ……やっまたっ! んんっ」
 イキそうになった凜さんに合わせてさらに腰を大きく動かすと、2人の間でクチュクチュと蜜を掻き混ぜる音が激しくなっていく。
「いいよ、何回でも……んっ……そろそろ、私もっ」
「あっ! あっ! いっ一緒にっっクッ……あああーーーっっ」
 体の奥から熱い塊が爆発して、甘い余韻に凜さんを抱きしめる。
「ん……」
「眠い?」
 心地よい気怠さに、凜さんのまぶたがトロン、と下がっていく。
「……朝……稽古……」
「ふふ、わかってる。ちゃんと起こしてあげるから。ゆっくりお休み」
 額に、髪の毛にキスを落とすと、安心したのか口元に柔らかい笑みを浮かべたまま凜さんが眠りに落ちていく。
 昨日より今日、今日より明日、もっともっと凜さんが私のことを好きになってくれるように、私はこれからもせっせと私の可愛い新妻を調教していくことにしようと思う。
「覚悟しててね」



fin
新妻調教、どうでしたか? しょせん私の書く話なので、調教ってもラヴラヴエッチでしかないのですが、ちょっとだけでもそんな感じになってるといいなぁ。だって、新妻って言ったら調教だよね!)