恋人達の夜明け |
「ねえねえねえ」 広海が中1の冬、母が言った。 「母さんの高校からの親友が今度ね、近くに越してきたの」 ダイニングのテーブルに座って広海は笑顔をこわばらせた。 「そ、それで?」 「え〜、日曜日、広海ちゃん、一緒にあそびにいこ ![]() 判ってる、お母さんの性格は、よーく判ってる、広海は心の中でくりかえして、つとめて明るく言った。 「で……なんで私まで行くの?」 「いいじゃない、広海ちゃん、どうせヒマなんだから」 にっこりと笑った母に広海はまけた、と思った。 日曜日。斉藤さんを訪ねるにあたって広海が選んだ服は、赤の横縞のTシャツの上にうすいピンクのツーピースで、スカートはフレア。肩にかかる髪はおろしたままにして、サイドを一房だけ三つ編みにした。 母は黒のタイトスカートに白い長袖Tシャツ。その上におしりまで隠れる長いこげ茶のカーディガンを着ている。 家から車で約30分のところに、母の親友、斉藤さんの家はあった。 玄関でお互いの服装をチェックした後、呼び鈴を鳴らす。 「はーい」 中から声がして、扉が開いた。 「あ」 「もしかして……和己くん? まあ、大きくなったわねェ」 母が広海の頭越しに言った言葉で、広海と和己はホッとした。一瞬、目が離せなくなってしまっていたから。 「いらっしゃい、どうぞ」 斉藤和己、19歳、大学一年、は照れたように頭をかいて、スリッパを2足、差し出した。 「あ、すみません」 小野瀬広海13歳、中1は、そう言って靴をそろえてぬいで、玄関にあがってから、再び靴を反対向きに直して、和己の出したスリッパをはいた。 和己は、へえ、と思ったが表情にはださずにこの母娘をリビングルームへ案内した。 大きなガラス窓から陽光が差し込む、明るいリビングで、広海は母から、親友斉藤夫人に紹介された。 「いらっしゃい、広海ちゃん」 言いながらガラス張りのテーブルに紅茶を差し出した。 「これ、うちの息子、和己」 「あ、よろしく」 「こちらこそ」 形どおりのあいさつをしながら広海は和己を観察した。 中1の広海から見ると、大学1年の和己はもう”大人”だ。 濃い茶のコットンパンツのすそを細く折ってはいている。上半身は生成のトレーナーというラフなかっこうだが、すこし、かっこよかった。 「子供の頃はほんとうにかわいかったのにねぇ、いつのまにかこんなにでっかくなっちゃって」 「ほんとにねぇ、おばさん、和己君が赤ん坊の頃おむつかえたことだってあるのよ、おぼえてる?」 ……おぼえてるわけねーだろ!?と思ったが和己はそれは口にはださず、少し赤面するだけでそれに応えた。 「広海ちゃんもほんとに美人さんになったわよね、モテるでしょ?」 「え、そんなことないです」 広海はあわてて、両手を振った。 「ったく」 和己がソファから立ち上がった。 「ここに居たんじゃ、いいサカナにされちまうな、おいでよ」 広海の手をとって立たせる。 広海は一瞬躊躇したが、いつまでも、からかわれているのは嫌だったので立ち上がった。 2階の和己の部屋に向かう途中で、和己の母の声がきこえた。 「初対面で押し倒すんじゃないわよォー」 「ば、ばかやろォーっっ」 和己は怒鳴って真っ赤になったし、広海もポッとほほを染めた。 2人は和己の部屋に入ったが、和己はドアを開けたままにしておくのを忘れなかった。 2年後。 学校。 「おめでと、よかったね麻美ちゃん」 「うん、でね広海、日曜なんだけど……」 隣の席の宮本麻美が、1年半ごしの片思いの相手、秋本朔也に告白された。そこまではいいんだけど、日曜か……どうしよう、広海は一瞬返事につまった。 「おねがい、このとおり」 「秋本君も友達連れてくるから、Wデートしようって言ってくれたの。初めてのデートなのよォ」 麻美は両手をあわせて頭の上でおがむように広海をみる。 「う、ん、わかるけど」 「やったぁ、ありがとう広海ちゃん」 大げさによろこばれて、広海は、まいったなァと心の中でつぶやいた。 「今度の日曜?」 ベッドに腰をかけて広海が聞き返した。 白に淡いピンクの花模様の壁紙で、いかにも女の子の部屋といった風な、広海の寝室である。広海は左手に電話の受話器をもっている。 「ごめんなさい、友達と約束しちゃった」 「……うん、じゃ、その前に電話するね」 和己さんは優しい。年が離れてるからかも知れないけど、大人だ、と思う。私の我が儘もきいてくれる。 ―― そう、じゃ、仕方ないね、その次にでもどこか行こうか ―― 和己さんの声がよみがえる。言えない、よね、広海は小さくため息をついた。 「ほらほら、いい若いもんが家出ゴロゴロしてんじゃないわよ。デートとかないのっっ」 掃除機で母親からつつかれて斉藤和己はテレビの前から立ち上がった。と言って何かすることがあるわけではない。デートのつもりだったが、まだ中3の恋人は友達の方が優先らしい。 「でかけてくる」 ジャケットをTシャツの上にひっかけて和己は家を出た。 日曜の午前中で、ぶらぶらと散歩をするのも悪くはない。公園をゆっくり歩いた。天気がいいので家族連れや恋人同士などが多い。てきとうな喫茶店でかるく昼食をとって、和己は駅前の映画館に入った。二番館で、彼の好きな映画のリバイバルをやっていたのだ。と言っても、もちろんラブストーリーなんかでは、ない。名画でもない。いわゆるB級娯楽SFってやつだ。 いつもは字幕の前に笑ってしまうので映画館をさけるが、今日のは二度目なので笑いを抑えることもできた。 気分良く映画館を出ても、まだ外は明るい時間で、和己は本屋にでも寄っていこうと思った。 たしか広海が英語の参考書が欲しいって言ってたよな、と頭の中で言い、どの本が良かったっけ?などと考えてみる。 和己は語学に明るい。国語の成績もけっこう良かったし、なんと言っても英語はばつぐんだ。そのかわりと言ってはなんだが、数学はちょっと苦手だ。広海に聞かれても数学だとどうも答えられない時さえある。 てきとうな参考書を買い、紙袋に包んでもらうと和己は帰路についた。 アーケードをぬけ、左に折れてバス通りを渡る。 デパートの横の細い小路から公園の真ん中をっきるのが近道だ。大きな池をわたって歩いていると、遠くの方に見覚えのある横顔が目に入った。 「あ、広海だ」 なんだ、友達と約束って、こんなところに来てたのか、和己は苦笑して、広海の方へ歩いて行った。おどかしてやろう、なんて思って後ろから近づいた。 そのとたんに、広海が振り返った。 目が合った。 「や、見つかったか、おどかして……」 言いかけて和己は広海の表情に気がついた。あきらかに狼狽している。 そして広海の視線の先に、男を見つけた。 缶ジュースを2つもって広海の方へ近づいてくる。 和己は黙って立ち去った。 トゥルルルル 呼び出し音5回目で相手が出た。 「あ、もしもし、あたし小野瀬……」 「広海か?」 あ、和己さんだ。 「そうです、あの、今日は……」 言いかけると受話器のむこうから、和己の声がさえぎった。 「今、忙しいから、今度にして」 それだけ言ってむこうから電話は切れてしまった。 はァ。 広海は深くため息をついた。 今度のは、明らかに、あたしが悪い。あやまるつもりでTELしたのに……しかたがない。和己さんの気がおさまった頃に、もう一度、きちんとあやまろう。 でも、たしかにタイミングが悪かったのだ。相手の男の子が麻美と秋本に気を利かせて、広海と2人になっていた時に和己が来合わせたのだから。しかも、その子が広海と一緒にいたのなら、和己に説明も加えてくれただろうが、あいにく彼はジュースを買いにいっていたところだった。広海一人では、あわててしまっていて、いいわけがとっさにでてこなかった。そして言葉を探しているうちに、和己は去ってしまった、というわけだ。 はァ。 複雑な気持ちで和己はため息をついた。 そうだよな、まだ中学生だもんな、俺みたいなおじんより、同じ年くらいの男と一緒の方が楽しいよな…… どこがいいんだ、あんなガキ!……ちがう、そうじゃなくて。 そう、せっかく広海の方から電話してきたのに、あんなわざとらしく切ってしまって。和己、おまえ、もう少しは大人じゃなかったのか? はァ。 もう一度、和己はため息をついた。 「斉藤君、何かあったの?」 先程からため息ばかりついている和己に、河北みゆきが声をかけた。 「ああ、うん、ちょっとね……」 あいまいに言葉をにごした。和己の家のリビングルームである。今週締め切りのレポートの資料を河北がわざわざ届けてくれたのだ。 「何か、ありそうだなァ……女の子でしょ?」 ピッと人差し指をつきつけて河北は笑った。 はァ。 深く和己がため息をつく。 「あら、図星?……たしか斉藤君の彼女って、”まだ中学生なんだけどさぁ、すっげェ可愛いんだぜ”の彼女でしょ?」 にわかにまじめな表情になって、河北が言った。度の強くないメガネの下で眉を寄せている。 「うん、ちょっと、ケンカしちゃって……」 和己は、ボツボツと事のあらましを話した。誰かに話したかったのかも知れない、と話しながら思った。 「それは……」 聞き終わって、河北が口を開いた。 「一度、彼女の話を聞いてみたら?……二股かけるような娘じゃないんでしょ?」 「……と、思うけど」 あんまり、自信がない。もう自分みたいなおじさんにはあきたのかも、とも思う。 「仮に、何かの誤解としたら、斉藤君が彼女の話聞いてあげないと始まらないし、もし、その同級生とかに鞍替えしたんなら、……斉藤君、このまま彼女のいいお兄さんになるか、きっぱり別れるか、ってとこじゃない?」 「うん」 あんまり、上手とはいえないが、河北がなぐさめようとしてくれていることだけは和己にも判った。 「それに、けっこう、誤解ってあるのよ。私だってあったもん、山ほど」 「でも、結婚しちゃうんだ。来月には」 ふふふ、と河北は笑った。 「そう、ちゃんとスピーチしてね」招待状を差し出しながら河北が言う。「資料も集めてあげたんだしね」 「はいはい、判りました」 和己が苦笑すると、河北は立ち上がった。 「あ、送るよ」 「ありがとう」 和己は駅まで、河北ののろけ話をきかされた。 「広海ちゃーん」 母がドアから顔をのぞかせる。 「何?」 「ねぇ、おつかい、行って来てくれる?」 広海は部屋で友達からかりた本を読んでいるだけだったので、気軽にOKした。 「いいわよ、どこ?」 「ん、これ、ね」 紙袋からセーターを取り出して見せる。 「たのまれてたの、できたからって、斉藤さんとこまで行ってほしいんだけど」 「……斉藤さん?」 「和己くんのとこよ」 にっこりと笑う母には決して逆らえないことを広海は経験的に知っている。 しかたなく、その紙袋を持って家を出た。 広海の家から和己の家まで車で約30分だが、電車で行ってもそのくらいである。 「和己さん、家にいるかなァ、今日は、ちゃんとあやまらなきゃ」 そう考えながら電車を降りた。 公園を歩きながら、なんて言ってあやまるか、頭の中で練習もした。 和己が、家から出てくるのが見えた。 あやまろう、とは思っていたのだが、この場合、とっさにかくれてしまった広海を責める人はいないだろう。 そして、和己に続いて、女の人がでてくるのを見た。 革のミニタイトスカートに白いブラウス。アクセントにスカーフという軽装だが、大人の女性という感じがする。 2人は話しながら、こちらに近づいてくる。広海はその辺の家の門の影に入って2人が通り過ぎるのをじっと待った。 笑い声に続いて和己の声が 「愛してる?」 ときいた。そして女の声がふふふと笑って 「うん、愛してるわ」 と応えた。 広海は2人が見えなくなるまでそこに立ちつくした。 「あ、お届け物、行って来なきゃ」 突然思い出したように口にすると、広海は通りに出た。 斉藤、の表札を確かめて呼び鈴を押すと、すぐに和己の母が出た。 「あら、広海ちゃん、いらっしゃい。和己、今、友達送るって出たとこなのよ。すぐ帰ると思うけど」 あがって行きなさい、といわれるのに広海は 「いえ、今日は母に頼まれて、おつかいだけなんです。……帰って宿題やらなきゃ」 と苦笑して辞去した。 家に帰って、自分の部屋に入って、着替えて、ベッドの上に寝転んでも、まだ感情が追いつかなかった。 なんで、私こんなに冷静なんだろう、とも思った。 ボーッとしたまま時間がすぎていった。 トゥルルル 電話の呼び出し音が2度程鳴った。しばらくして母の声がスピーカーから聞こえた。 「広海ちゃーん、お電話ァ」 何度言っても、誰からのって言わないんだからなあ、と広海は心の中で言いながら、のろのろと受話器を取った。 「おまたせしました、広海です」 ちょっと、躊躇する気配が受話器越しにあってから 「俺、和己。今日、来たんだって?」 和己としては、一生懸命考えた末の台詞である。なるべく、ぶっきらぼうにならないように、明るく努めた。 「うん」 「……」 そこで会話はとぎれてしまう。 「こ、この前の日曜さ、広海電話くれたのに、俺切っちゃって、悪かったなって……はは」 広海は黙っている。 しかし、和己は思った。怒っているのは俺の方だぞ? 他の男とデートなんかしてて。なのになんで広海のほうが…… 「おい、何とか言えよ」 つい、声がきつくなった。 「何とかって、何て言うの? この前のことは、友達に頼まれてことわれなかったWデートで、私恋人いるから、今回だけって、はっきり行って来たし」 広海はいいながら、声が高くなってくるのに気づかない。 「でも、でも恋人って言ったって、和己さん一度も好きだって言ってくれたことなんかないし」 やっと、広海のほほに涙がつたった。 「第一、和己さんなんか、和己さんなんか、他に恋人、いるくせに、私のこと、とやかく……和己さんなんか大っ嫌い」 「え、ちょっと待って」 言い終わらないうちに、広海の方から電話は切れてしまった。 他に恋人って…… 「そんなん、いないぞ!?」 和己は受話器をおいて、もう一度とりあげ、右手をプッシュホンにかけたが、そこで止めた。きっと広海は電話にはもう出ない。 時計を見る。 もう、終電には間に合わない。 あいにく、父が出張中で車もない。 ちっ 和己は舌打ちすると、急いでTシャツをトレーナーに着替えるとスタジャンをひっかけて家を出た。 「母さん、出掛けてくる」 「え? ちょっとこんな遅く……」 「急用! 広海んとこ」 まだ何か母の声が言っていたが、和己はかまわずに自転車に飛び乗った。 ピンポーン 小野瀬家の玄関の呼び鈴が鳴ったのは、それから約2時間半たってからのことだ。 ピンポーン もう一度呼び鈴を押して、和己は心配そうに腕時計を見た。 とっくに深夜と呼べる時間だ、玄関の内にライトの点るのをイライラしながら、和己は待った。 「あら、あらまあ! どうしたのこんなに遅くに」 広海の母がねぼけ眼をこすりながら出てきたが、和己の顔を見てびっくりした様子だ。 和己は汗びっしょりで、息が少しあがっていて、青い顔をしてそこに立っていた。 「……深夜にすみません。どうしても、今広海に行っておきたいことがあったもんですから」 「電話は?」 少し考えて母がそう言うと和己は苦笑した。 「ちょっと、その、怒らせちゃって、僕が悪いんですけど……あの」 「そうそう、あがってちょうだい、広海、呼んでくるから」 リビングに和己をとおして、彼女は広海を呼ぶと、小さくあくびをして、寝室に戻って行った。 広海が2階の部屋から降りてくる。 パジャマに上にカーディガンをはおっている。 和己は立ち上がって広海が黙ったままソファに腰を下ろすのを待った。 和己も続いて広海の正面に座ったが、広海の顔を見て、はっとした。 パジャマ姿だが、今まで寝ていたのではないことを、泣きはらした赤い目が語っている。 「ごめっ、俺が悪かった、泣かないでくれよ、ね」 オロオロと和己が言った。 「泣いてない」 広海がボツリと言った。 「でもっあの、これ」 言って和己は河北のくれた結婚式の招待状を広海に差し出した。 横目でちらっと見て、興味なさそうな表情をしたのに、和己はあわてて説明を加える。 「これがたぶん、広海の言ってた、俺の恋人ってやつだと思うんだけどっ、誤解っ!彼女、大学の友達で、今度先輩、OBなんだけど、結婚すんの」 広海は目をクリッと動かして和己の顔を見た。 「でも、愛してるって和己さん、言ってたもん」 あわてたのは和己だ。 「え? 何?それ」 広海は、とぼけたってムダよ、というように、和己の目を見ながら、自分の見たことを話した。 「ああ〜ん?」 和己は言ってからゲラゲラと笑い出した。 広海がムッとほおをふくらませたのであわてて和己は笑いを引っ込めた。 「それ、彼の事を愛してる?ってきいたんだぜ、俺、駅までず〜〜っとノロケきかされたんだよ」 本当? 広海の瞳がそうきいた。 「本当。俺が愛してるのは広海だけだよ」 「うそ」 すねたような、甘えてるような、怒ったような声で広海が言った。 「本当だよ」 和己はソファから腰をうかせて、そっと広海に口づけた。 「あ、あれ、何か書いてあるよ」 広海が照れて真っ赤になりながら、河北の結婚招待状をとりあげた。裏に、小さな字で何か書いてある。 「……”中学生だけど、すっげぇ可愛い”お嬢さんもつれてきてね?」 わーわーわー、和己はあわてて広海から招待状をもぎとった。 「ねぇ?」 広海は、ちょっといじわるな瞳をしてきいた。 和己は困ったように上を向いた。 「この、すっげぇ可愛いお嬢さん、て、あたしのこと?」 和己は、優しい声で応えた。 「そう。それ以外、誰もいないでしょ」 ふふふ、と微笑んだ広海に、和己が笑いかけた。 「一緒に行こうね」 「うん」 広海のうれしそうな返事をきいて、和己はにやっと嗤った。 「この問題集ができたらね」 言ってとりだしたのは、先日買ったばかりの英語の問題集と参考書である。 「え?」 広海の表情がこわばるのを見て和己は笑った。 「一緒に勉強しようか」 「うん」 笑った広海を和己が抱きしめた。 こほん。 「仲直り、した?」 もう、寝たと思っていた母が顔を出した。 「あ、ご心配をおかけしました、僕は……」 「お家には電話しといたから、泊まっていけば? 広海ちゃん、客用寝室、用意してあげて」 にっこり笑った母を見て、広海は、やっぱり母さんには勝てないなぁと思った。 「和己さん、こっち」 広海は先に立って、扉を開ける。 和己は扉のところにもたれかかって広海が器用にシーツを交換していくのを見ている。 ポンポン。 できあがったベッドをかるく叩いて、広海が和己を向き直った。 目が合う。 …… くすっ 広海が笑った。 和己も、笑った。 「おやすみ」 「おやすみなさい」 夜明けまで、まだ時間はある。一眠りして、恋人達の朝がはじまるのだ。 おしまい。 |
えーと。かなり古い話です。20才過ぎたくらい?に書いていた話。文体がなんだか……ヘン(><;) 年齢差のあるカップルが好きなので、そんな感じで(笑) 中学生と大学生とか、中学生と教師とか。中学生、が好きなのかも知れないなぁ(笑) 大学生って中学生からみたらすごく大人に見えるけど、やっぱり大人から見たらまだまだ子どもだよね。だからすれ違いもするし、誤解もある。相手が中学生だから、自分は大人なんだから、と思うけど、やっぱりうまくいかない。そんな初めての恋愛で自分の気持ちを持て余してしまうような感じとかが書けるようになりたいなぁ…… |