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「今日から君たちの担任をする子安みむらです。担当教科は化学。1年間、よろしく」 4月、まだ桜の花も残る新学期、新しく赴任してきた先生はそう挨拶した。 女性としてはかなり背が高い。ハイヒールを履いている分を差し引いても、高いと思う。スタイルもバツグンで、胸も大きいのに少しもたれていない。少し色素が薄い感じで、色が白く、ショートボブの髪も茶がかっている。大きな眼鏡も、その美貌を少しも損ねていない。 黒板に『子安みむら』と書いた文字も、カカッと書いたにもかかわらず、整ったきれいな字だった。 「……かっこい〜♪」 思わず口に出してしまった。だってあまりにもかっこいいんだもの。(先生にはジロッとニラまれちゃった)私もあんな女の人になりたいな〜。 花村紀子は、自分の長くて真っ黒な髪をクルクルと弄びながら考えた。 翌日、紀子は髪を切って行った。始業式翌日から髪型を変えるなんて、ちょっとロコツすぎるかな? 先生を真似てサイドに少しシャギーを入れてみたのだけど……。でも、さすがに同じ髪型にしてしまうのはどうかと思って、うしろは長いまま残してある。 「おはよう、髪、切ったのね、花村さん」 通学途中で突然声をかけられて、紀子はとびあがった。 「お、おはようございます。……子安先生」 どうでもいいことをイロイロと考えていたせいでゆっくり歩いていた紀子に、追いついたみむらが並ぶとその身長差が際だつ。そんなに背は高くない、はっきり言うとチビの部類に入る紀子は長身の先生の乳房の辺りまでしかない。 「……名前、もう覚えてくれたんですね〜。それにまだ2日目なのに髪型まで覚えてくれてたなんて……」 「私、人の名前と顔は一度見たら忘れないのよ。きのうのも良かったけど、今の髪型の方がかわいいわね」 みむらがツーと手を伸ばして、紀子の髪を一房手にとる。 「……先生」 「おはよーございまーす」 「おはよ〜、先生」 うしろから先生に気づいた生徒たちが口々に声をかける。そのまま、生徒の波につれさられる先生の後ろ姿をながめながら、紀子は思った。 「私、やっぱり、先生が好きだわ……」 「花村さん……どうして化学だけ、こんなに成績が悪いのかしら? ほかの教科は普通なのに、地を這ってるわよ」 「すみません」 あこがれの子安先生の手には、一学期の期末テストの答案。見事に空欄の多いそれは、もちろん紀子のものである。しかられる紀子はしょんぼりしている。 ここは理科準備室。実験などに使う理科室に続いている、先生用の部屋だ。資料や本が山積みにされ、さして大きくはない机がその中に埋まっている。 窓は大きく開け放たれ、中庭の緑がまぶしい。時々机の上の書類が風でパタパタと音をたてる。 「中学の時の成績も調べたけど、特に苦手科目というわけでもないでしょう」 そのとおり。でもまさか、授業中先生に見とれていて、ロクに授業を聞いていません、なんて言えるはずがない。 「困ったわね」 さして困った風でもなく、先生が言う。白衣の下の黒いタンクトップは、前がかなり開いていて、胸の谷間がバッチリ見える。ただでも身長差があるので、うつむいた紀子の視線はそこに釘付けになってしまう。 「ふう。おしおきが、必要かしら?」 みむらは長い脚を組みかえると、向かい合って座った紀子のほおに手を伸ばす。 「ぶたれる!?」思った紀子は反射的に目を閉じる。 ………… いつまでたっても衝撃がこない。うすく片目をあけてみた。 目前でみむらが嫣然と微笑んでいる。 「花村さんて、ほんとうにかわいいわ」 言って、口づける。 なにがどうなっているのかわからない紀子は、呆然としている。 「指導、なんて口実。実は、最初からあなたのこと、かわいいって思っていたのよ」 「あ、あの……先生?」 いつの間にか、先生に抱きしめられる形になってしまった紀子は、少し動揺しながらも、これってチャンス? などと思ってしまっている。 抵抗しようとしない紀子に、気をよくしたみむらは、さっそく紀子の制服に手をかける。 スカートを落とすと、上は着たまま、下半身だけパンティ1枚で、妙になまめかしい感じがする。 「先、生……恥ずかしいよ」 「みむら、よ」 セーラー服の下から右手を挿し入れて、背中をくすぐるように愛撫しながら、みむらが言った。左手で器用に前開きの服の飾りボタンを外すと、肩口からうなじにかけて往復させる。 「み、むら……」 「そう、みむらよ。2人の時は、先生じゃないわ」 「あ……」 みむらの手が紀子の下半身に伸びる。 「だって、先生が生徒にこんなことしたら、マズイでしょ?」 パンティ1枚越しに秘部を撫で上げられて、紀子はその場の崩れ落ちる。 「ふふ」 みむらは着ていた白衣を脱いで、机の上に広げると、その上に紀子を抱き上げて横たえた。太ももから先が、机の端から落ちてしまう。 「ベッド、というわけにはいかないわね」 薄く嗤ってみむらは言うと、紀子の残りの服もはぎとって、全裸に剥いてしまう。 「前開きって、脱がせやすくていいわよね。まさかそんな理由でデザインしたわけじゃないでしょうけど、ふふ」 すっかり陶然となっている紀子は肩で息をするのがせいいっぱいという感じだ。眼も閉じてしまっているが、そのことがよけいに皮膚感覚を敏感にしていることには気づいていない。 小さめの乳房をすくいあげて、みむらが口に含む。左右交互に下から頂上に向かって舐めあげる。時々、乳首を甘咬みすると、堪えきれないように、紀子の声がもれる。 「あ、んんっ」 宙に投げ出された脚が、居心地悪げに跳ね上がる。 「ここも、さわって欲しいのかしら?」 みむらが乳房への愛撫を続けながら、右手を紀子の脚の合わせ目に潜り込ませると、そこはもう充分に潤っていた。 指を引き抜き、紀子の眼前にもっていく。 「もう、こんなにしちゃうなんて。なんてイヤラしい娘なの」 指を広げて、愛液が糸を引くのを見せる。 「や……ん」 紀子はあまりの恥ずかしさにみむらに抱きついて、顔をかくしてしまう。紀子とは違い、豊かな乳房に顔を埋めてしまった。 「じゃあ、もっと気持ちよくしてあげる」 紀子の密壺から溢れ出る液体を指に絡ませて、膨らんだ芽を擦りあげる。 「んっ、ソコ……、や〜」 紀子の鳴き声に勢いを得て、みむらはさらに指を進める。中指を中に入れて抜き差しを始める。同時に親指でクリトリスを刺激するのも忘れない。 「どう? 気持ちいい?」 「んっっ……」 言葉にならない紀子をみむらは満足げに見下ろす。 机の上で紀子に被さるようにしていたのを、みむら一人降りると、紀子の投げ出された両脚の間に膝立ちになる。丁度みむらの目の前に紀子の秘所が広がる感じだ。 「どんどん溢れてくるわ、白衣がビショビショよ」 「やん」 閉じようとする太ももをみむらの手がしっかりと押さえつけて、そのまま秘密の場所にそっと口づける。 「キャッ」 その感触にびっくりして紀子はあわてて起きあがろうとするが、上下するみむらの頭が見えたところでまたくずおれる。ゆっくりと秘孔とクリットを往復する舌の感触に堪えられなくなったからだ。 はぁはぁと紀子の息づかいがあらくなったのを見極めて、みむらはきつく秘所を吸い上げた。 「あっ、ソコッ、……んっ」 紀子が、恥ずかしいところを苛うみむらの頭を抱き込むように、彼女の肩の上に乗せた太ももを締め付ける。 紀子は自分がどんな格好をしているのか気づいて、あわてて離そうとしたが、みむらの責めは執拗で、容赦がなく、しがみついていないと、ひどく不安定な気持ちになってしまう。 「んっ、……いいっ」 両手を伸ばしてみむらの頭を自らに押しつけるようにして紀子が果てると、紀子の恥ずかしい液で濡れた口元を、敷いていた白衣の端で拭って、みむらは机の上で荒い息をしている紀子に並ぶように、机に腰掛けた。 さらにイッたばかりの紀子の中に指を差し込むと、やわらかく、いたわるように揉みほぐした。 「まだ、ヒクヒクしてる……かわいかったわ、もう、私のものって思っていいでしょう?」 みむらは紀子の顔を覗き込んで言う。 あまりに間近でみつめられて、今しがたその指と舌で、恥ずかしいところを晒してしまった紀子は居心地が悪かった。 「や、ん。もう、恥ずかしいから、あんまり見ないでください」 みむらの問いには、頷いて応えながら、紀子はそう言うと、紀子を全裸に剥きながら、自らは、白衣以外着衣に乱れのないみむらから、眼鏡をとってしまう。 「あっ、ダメ……」 眼鏡をとれば、視力のあまりよくないだろう先生の視線も恥ずかしくないだろう、と無意識にとった行動だったのだが…… 「……どうして、こんなところで、変わるかなァ」 場所は放課後の理科準備室。全裸の紀子が机の上に広げられた白衣の上で、女の子座りをしている。そして、その前に立っているのは…… 紀子の担任の子安みむら、である。少なくとも先ほどまでは、そうだった。 しかし、彼女は紀子の目の前で《変身》したのである。狼に、ではない。外見上の差異は、ほとんどないと言っていい。ただ、顔を埋めると窒息しそうなほどに豊かだった胸が、ない。そして、表情が、ちがう。 裸のまま呆然としている紀子を前に、視線のやり場に困る、という風に大きな手で目を覆っているのは、どう見ても、男性だった。 「とりあえず、服、着てくれないかな」 男は、自分のはおっていたシャツを脱いで紀子に差し出した。シャツの下には、みむらの着ていたシルクのものとはあきらかに違う、綿素材のタンクトップを着ていた。 「つまり、ね。なんて言ったらいいかな? 二重人格みたいなものなんだよ。ただし、身体も、まるで別人なんだけど……」 信じてくれないよなァ、こんな話、と小さくぼやく男は、けれど、先ほどまでの子安みむら先生と、双子のようにそっくりだった。男女の双子は、二卵性なので本当はこんなには似ていないだろうけど。つまり、男か、女か、そして、性格からくる表情が微妙に違うくらいで、基本的には同じ顔だった。 「でもォ、目の前で変身するの、見ちゃったしィ」 わりとあっさりとこの特異な状況に適応した紀子を見て、安心したのか、男はさらに続けた。 「眼鏡をかけてる時が、みむらで、女。眼鏡を外すと、僕、男になる。理由はわからないんだ」 「ふぅ〜ん、おもしろいね」 文末ににハートマークでもつきそうな表情で、紀子が言う。 「ね、ね、両方の記憶があるの?」 紀子が男、子安すなおに甘えかかるようにして聞く。紀子にしてみれば、目の前で変身されているので、どっちも大好きな《先生》にかわりないのだ。 抱きつかれて、少々困った様子で、男は応える。 「ある、といえば、あるのかな。夢でも見てる感じで、ぼんやりと雰囲気だけは、判るような、ね。たとえば、君の名前はわかる。ノンちゃん、だよね。」 「紀子、だよ。ふーん……、つまんないね。せっかくイイことしてたのに、男になった途端にわかんなくなっちゃうなんて」 あっけらかんと、すなおのシャツを素肌に着ただけの紀子が言う。 「なっ!?」 すなおの方が、とまどっている。 寝ていて、目が覚めた時、目の前に素っ裸の女の子がいたりしたら、誰だってそうだろう。 「3人だけの秘密ってことよね、なにせ私たち、こういう仲だしィ」 紀子は、すなおのシャツの襟元を少し持ち上げた。 もちろん、すなおの目の高さから、あるかないかの胸の谷間が見えることを計算して。「そっ、それは……みむらと、で、俺は、なんにも……」 すなおの台詞は最後の方が、ムニャムニャと、小さくなっていく。 「ぜーんぜんOK! 私、男でも女でも気にしないしィ」 紀子が、すなおに抱きついて、言う。 「だ、だから、その」 「だ、か、ら。すなおくんと、みむら先生だけは、私のこと、ノンちゃんって呼んでもいいよ」 「いや、だから、あのね……」 自分は決して、高校生の女のコに手を出すような男ではないのだ、と言いたいすなおは、けれど目の前でニコニコと擬音をともなって微笑んでいる紀子を見て、やっぱり好みは同じなんだな、と変なところに感心していた。 「でも、一度にふたりも恋人ができたみたいで、ラッキーかもォ」 などと、すなおによりかかりながら、紀子が言う。 少しとまどいながらも、たぶん流されていくんだろうな……と、すなおは心の中でため息をついた。 続く |